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デフラグビー世界大会開幕。日本は好発進!

paraspoofficial
10 時間前
読了時間: 5分

更新日:7 時間前

初勝利を喜ぶ日本(撮影:星野恭子)
初勝利を喜ぶ日本(撮影:星野恭子)

 

耳の聞こえない、聞こえにくい選手たちが行うデフラグビー。その男女の国際大会、「第3回7人制デフラグビー世界大会」が10月31日、夢の島競技場(東京・江東区)で開幕した。日本での開催は初めてで、会場を変えながら11月3日まで行われている。

 

11チームが参加している男子はプールA(フィジー、ニュージーランド、南アフリカ、ウェールズ、サモア、バーバリアンズ)とプールB(日本、香港中国、オーストラリア、イングランド、イタリア)に分かれ、それぞれ総当たり戦による予選ラウンドを行い、上位7チームが最終日の決勝トーナメントに進む。

 

日本はこれまで第1回大会(オーストラリア)で4位、第2回大会(アルゼンチン)で7位だったが、母国開催の今大会に向けて強化してきた成果を発揮し、世界一を目標に掲げている。今大会は予選Bプールに入り、初戦で中国香港に59-0と圧勝。好スタートを切った。

 

前半1分、日本は敵陣内でパスをつなぎ、最後にボールを持った熱田笙馬がデェフェンスを振り切って先制トライを挙げた。熱田はデフ陸上日本代表でもあり、快足を見事に生かした格好で、この約4分後にも2トライ目を挙げた。大石拓弥らのトライや副キャプテン、大塚貴之の精度の高いコンバージョンキックなどで加点し、前半を33-0で折り返す。

 

後半はメンバーを入れ替えたが、勢いは止まらない日本。トライやキックで得点を重ねた倉津圭太らの活躍で、中国香港を突き放した。

 

初戦勝利後、自らも代表経験がある柴谷晋ヘッドコーチ(HC)は、「ホッとしています。選手には試合前に緊張感が見られたが、グラウンドに入ったら楽しいラグビーができていた」と振り返り、大勢のサポーターで埋まった観客席を背に、「選手はこういう場でラグビーができるありがたさと重みを知り、今日、それを試合で表現してくれた」とチームを称えた。しかし、「まだ、試合は7分の1が終わっただけ。また切り替えていきたい」と引き締めた。

 

さらに、「チームには特別な選手はいない。12人全員で守って、全員で攻める。そういうチームワークと、聞こえない中、ハンドサインでコミュニケーションを取ったり、できるだけ視野を広くしてお互いの意図を読み取ったりしている。選手たちのそんなパフォーマンスを見てほしい」と呼びかけた。




■個性あふれる日本チーム


岸野楓(提供:©️JDRFU@3RDWD7S/10月31日)
岸野楓(提供:©️JDRFU@3RDWD7S/10月31日)

 

日本チームはラグビー経験豊富な選手から経験は浅くとも熱田のように特技を生かして活躍する選手まで多彩な集団だ。また、それぞれコミュニケーション方法もさまざまで、手話を使う選手から相手の口の動きを読み取って自分は発話をするといった選手もいる。

 

チームを率いるのは岸野楓キャプテンだ。先天性の聴覚障害があり、ラグビーは小学2年生で始めて以来、中学・高校と活躍。早稲田大学時代にラグビー部でプレーしながら、デフラグビーとも出会った。一般のラグビーでは自分だけ周りの声が聞こえず、コミュニケーション面で苦労も多かったと言う。だが、「デフラグビーではチームのみんなが聞こえないという立場なので、チームスポーツとしてはデフラグビーのほうがすごく楽しい」と事前の取材で話していた。

 

リーダーシップが高く、チームの信頼も厚い岸野キャプテンにとって、今大会は3度目の世界大会となる。「世界一は難しい目標だと思いますが、日本で初めての世界大会。世界一という高い目標に向かってチャレンジする姿を通し、見に来てくださる方々に勇気を与えたい」と意気込みを語っていた。

 

なお、初日2戦目のオーストラリア戦は前半2分に熱田が先制したが、激しい攻防の末、12-12で前半を終えた。後半も攻守にわたって善戦したが、終盤にトライを許し、12-17で惜しくも敗れた。

 

一方、女子は全6チーム(ウェールズ、イングランド、オーストラリア、フィジー、ニュージーランド、バーバリアンズ)が参加している。決勝トーナメントには全チームが進むが、予選2日間で総当たり戦を行い、その結果によって最終日の組み合わせが決まる。

 

日本チームのエントリーはないが、日本から唯一、小林美晴が世界混合チーム「バーバリアンズ」のキャプテンとして出場している。



 

■デフラグビーとは

 

オリンピックと同じ7人制(セブンズ)で競われ、基本的なルールも同じで1試合は前後半各7分の計14分で行われる。

 

ただし、選手たちは聴覚障害の程度に関わらず、補聴器などを外してプレーする。音声に頼れないため、コミュニケーションに工夫が欠かせない。「見ること」が基本となり、主に手話やハンドサイン、アイコンタクトが使われる。ボールだけでなく、味方の位置や動き、さらに敵の動きにも目を配り、視野の広さと瞬時の判断が重要だ。

 

試合中、プレーが止まるとすぐに、選手が集まって手話やハンドサインなどでコミュニケーションを取り合う様子が見られる。だが、7人制は比較的、展開が速いため、予め練習で培ってきた互いの信頼と連係が大きなカギとなる。



 

■新採用、サイレントレフリー


サイレントフリー(撮影:星野恭子、10月12日撮影)
サイレントフリー(撮影:星野恭子、10月12日撮影)


今大会から新たにデフラグビーならではの、「サイレントレフリー」という取り組みが導入されている。一般的なラグビーではレフリーは笛を吹いて合図したり反則を示したりするが、サイレントレフリーは笛を使わず、赤や黄色などカラフルな手袋やタオルを使って視覚的に選手に伝える取り組みだ。頭上でタオルを回したり、時には選手たちの目の前にタオルを投げたりしながら、試合を進行する。

 

「聞こえ方に差」がある選手たちができるだけ公平にプレーできるようにと、日本発信で世界に導入を働きかけ理解された新しい試みとなる。

 

今大会はサイレントレフリーについて事前に勉強会などを行って準備してきたという日本のレフリー陣が全試合を担当する。柴谷HCは日本の初戦後に、「スムーズに進んでいると思う。海外のコーチから、『デフラグビーだから、これが当たり前の形だろう』といった声も聞いている」と話した。サイレントレフリーのスタンダード化に向けた挑戦にも注目したい。

 

なお、予選2日目は11月2日、スピアーズえどりくフィールド(江戸川区)で、決勝トーナメントは11月3日、“ラグビーの聖地”秩父宮ラグビー場(港区)で行われる。各会場とも無料で入場・観戦できる。また、YouTubeによるライブ・アーカイブ配信も行われている。世界のデフラグビーを体感する絶好の機会だ。

 

・10月31日(予選1日目): youtube.com/live/hhJGeKw1GeI

・11月2日(予選2日目): youtube.com/live/aB_h0xkqeaE

・11月3日(決勝トーナメント): youtube.com/live/yB2hMvq-v5g

  (取材・撮影:星野恭子)

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