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【東京デフリンピック】“大会の顔”山田真樹が陸上男子400mを制覇!日本勢金メダル第1号

  • paraspoofficial
  • 11 分前
  • 読了時間: 3分
金メダルの山田
金メダルの山田


大会5日目の11月19日、陸上競技で男子400m決勝が行われ、山田真樹(ぴあ)が日本デフ新記録となる47秒61をマークして金メダルを獲得、今大会日本選手団の金メダル第1号となった。


「最高に気持ちがいい! 8年ぶりにメダルが取れて嬉しい。金メダルを獲るためにずっと頑張ってきた。努力が報われた!」


山田は3大会連続のデフリンピアンで、初出場だった2017年のサムスン(トルコ)大会で200mと4x100mリレーでの獲得以来となる自身3度目の戴冠になる。なお、同大会では400mでも銀メダルを獲得している。だが、連続メダルを狙った2022年のカシアスドスル(ブラジル)大会は、新型コロナウイルスの影響から日本選手団全体の大会途中棄権が決まり、山田は連覇を狙った200mのレース直前にスタートラインに立つことなく帰国していた。


今大会は17日の予選(50秒45)、18日の準決勝(49秒03)を順調に突破。この日の決勝では好スタートを切ると、序盤からトップに立った。中盤でも持ち味の大きなストライドで加速し、トップで最終コーナーを回る。ラストの直線で内側からポーランド選手に並びかけられたが、再加速して0秒32差で突き放し、両手を広げフィニッシュラインを駆け抜けた。


「序盤から先頭に立ち、力を出し切って逃げ切る作戦」をコーチと相談して決めていた。その通りのレース運びを展開した。「たしか残り5、60m辺りで、(ポーランドの)赤いユニフォームが目に入った。『抜かれてたまるか』っていう気持ちで、そこから“150%の力”を出した。これまでにない走りができて、いい結果につながった」と笑顔で振り返った。


山田は今大会前から、PRポスターのモデルの一人に選ばれたり、盛り上げイベントや手話言語をベースにした目に見える応援、「サインエール」の開発にも加わるなど、「大会の顔」として大車輪の活躍ぶりを見せてきた。


「期待が大きければ大きいほど、目に見えないプレッシャーも大きかった。でも、プレッシャーが大きければ大きいほど、頑張らなきゃならないという気持ちも出た。誰かに背中押してもらったような気がする」


前回大会での無念の帰国後は悔しさや理不尽さなどから一時はモチベーションを失いかけた。だが、翌2023年に東京大会の開催が決まって再び、「頑張るぞ」と闘志がよみがえった。この日のスタート前に「サインエール」で盛り上がる観客席の様子がスクリーンに映し出され、「これまでにない不思議なパワー」をもらった。


「(途中棄権という)あの時の苦しみが今日の結果になった。ポスターに出ることでプレッシャーもあったが、逆にパワーをもらえた面もあった。いろいろな思いがふくらんだ、そういう東京大会になった」


表彰式を終え、金メダルを首にかけて再びメディアの前に戻った山田は、実はレース前に愛妻から長い手紙をもらっていたことを明かした。「今までいろいろ辛いことがあったかもしれないけれど、あなただったら絶対に大丈夫」といった激励の言葉が並んでいたという。「これをお守りにして走ったら、金メダルを獲れた。妻の力が一番大きかった」と感謝した。


山田はこのあと、「この1年間、メインで取り組んできた」という200mと、4x100mリレー、4x400mリレーにも出場予定だ。「まだ満足していない」という山田のさらなる快走が楽しみだ。


なお、この男子400mには山田に加え、デフリンピック初出場の2人も決勝に進む快挙だった。49秒27の自己ベストで5位に入った村田悠祐(仙台大学)は、「世界一を決める舞台に立ててすごいなと、幸せだった。自己ベストは出せたが、メダルを獲れなかった悔しさもある」。

ろう学校の教員、足立祥史(島根県立松江ろう学校)は50秒18で8位だった。「(決勝は)皆、本当に速かった。世界レベルのレースに自分もいたことが信じられない。世界と戦う姿を生徒たちにも見てもらえて、嬉しい」と笑顔だった。

村田はこの後、400mハードルと4x400リレーで、足立も200mと同リレーなどで、世界に再び挑む。


男子400m決勝を走り終えた3選手。左から、足立祥史、山田真樹、村田悠祐
男子400m決勝を走り終えた3選手。左から、足立祥史、山田真樹、村田悠祐

(フリーライター 星野恭子)


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