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【東京デフリンピック】 男子4x100mリレーで金メダル

  • paraspoofficial
  • 1 日前
  • 読了時間: 3分
金メダルを獲得した日本チーム。左から、佐々木琢磨、坂田翔悟、冨永幸佑、岡本隼
金メダルを獲得した日本チーム。左から、佐々木琢磨、坂田翔悟、冨永幸佑、岡本隼



東京デフリンピック大会10日目の11月24日、日本陸上チームは新たに金メダル3個を積み上げ、トラック種目の全競技日程を締めくくった。

 

■8年越しの金、男子4x100mリレー

 

男子4x100mリレー決勝では、日本(岡本隼、冨永幸佑、坂田翔悟、佐々木琢磨)が41秒22で優勝し、2大会ぶりに金メダルを奪還した。日本がもつ世界デフ記録(41秒15)更新はならなかったが、初出場の若手2人を加えた新オーダーで好タイムをたたき出して世界一になった。

 

4大会連続出場の大黒柱でアンカーを務めた佐々木は、「金メダルを取れて、まずはホッとしている。チームとして、将来の自信につながるメダル。僕もまた、4年後を目指すが、この後輩たちを見て、新しい後輩たちにもつながっていくと思う。これからのデフ陸上が本当に楽しみ」と目を細めた。

 

8チームで争われたレース。4レーンに入った日本は1走の岡本が反応よく飛び出すと、富永、坂田と順調にバトンをつなぐ。アメリカやコロンビアとのトップ争いのなか、最後にバトンを受けっとった佐々木がトップギアで抜け出すと、2位のアメリカを0秒47も突き放して歓喜のフィニッシュに飛び込んだ。

 

1走の岡本はデフリンピック初代表。「走れるとは思っていなかった」というリレー予選につづき、この決勝が大舞台での2レース目だったが、大役を果たし切った。「このメンバーで金メダルを取れてうれしい。1年間、練習を頑張ってきてよかった」と感想を述べた後は緊張感から解放され、安堵と喜びの混じった涙を流した。

 

2走の富永は、「サポートメンバーで(レースを)走れない選手もいたが、みんなの心は一緒。チームで1つになってメダルを取れた」と言葉に力を込めた。3走の坂田は前回のブラジル大会にも出場したが、リレーはコロナ禍による日本選手団全体の途中辞退により出走はかなわなかった。「その悔しさを今回で晴らすために頑張ってきた。走った4人だけでなく、みんなで力を合わせて取れた金メダル。みんなにも恩返しをしたい」と感謝した。

 

■「心」でつないだバトン


バトンパスでは一般に、渡す選手が「ハイ」と声をかけ、タイミングを図るが、デフ選手には聞こえない。日本チームは、日常生活からメンバー間でコミュニケーションをよく取ってチームワークを磨き、レースでは走ってくる相手の表情や走りから調子を読み取り走り出しのタイミングを調整する。渡す方も相手の手をよく見て確実にバトンを届けることを意識するなど、「心のバトンパス」を磨いてきた。

 

合同練習は毎月1回程度しかできなかったが、冨永は「練習できるときはすごく集中した」と振り返り、「心を伝え合えたから、無事にバトンがつながった」とうなずいた。

 

表情式後、首に下がる金メダルを手に取った岡本は、「でっかくて、重くて・・・。金メダル、取れたんだなあと感じる」とようやく笑顔を振りまいた。

 

富永が、「眩しい。早くみんなに見せたい」と声を弾ませれば、坂田はメダルの重量を確かめながら、「これまで積み重ねてきた練習の重みが詰まっているように感じる」と噛みしめた。

 

30代の佐々木は「18歳の気持ち」で、20代の3人と絆を育んできたという。インタビュー終盤、後輩たちに優しい眼差しを向けながら、「頑張れ!」と力強くエールを送り、ミックスゾーンを後にした。

 

(フリーライター:星野恭子)

 

 


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