【東京デフリンピック】 陸上日本が金ラッシュ!4x400mリレーで有終
- paraspoofficial
- 1 日前
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東京デフリンピック大会10日目の11月24日、日本陸上チームは新たに金メダル3個を積み上げ、トラック種目の全競技日程を締めくくった。
■みんなでつかんだ初めての金。男子4x400mリレー
陸上競技トラック種目の最終種目となった男子4x400リレー決勝で、日本は足立祥史、村田悠祐、荒谷太智、山田真樹の4人でバトンをつなぎ、3分17秒フラットのタイムで金メダルを獲得した。この種目での日本の戴冠は史上初。
レースには予選を通過した8チームが出走。5レーンからスタートした日本は1走の足立が2、3番手辺りでバトンをつなぐと、2走の村田が2位をキープ。さらに、スムーズなバトンパスで3走の荒谷太智が先頭へと抜け出した。残り100mでケニアにかわされるも食らいつき、僅差でアンカーの山田につないだ。その直後、先頭を行くケニアのアンカーが転倒。巻き込まれそうになった山田だが、器用にかわすと持ち味の大きなストライドで後続との差を広げた。そのままトップを守り、最後は右手を突き上げながら、フィニッシュラインを駆け抜けた。
「最高にうれしい」
山田はデフリンピック3大会連続出場で、今大会では400mで日本選手団の第1号金メダリストとなり、200mでも銀に輝いていた。「個人2種目で表彰台に立った時の景色が忘れられない。その景色を2人の後輩と、ライバルでありチームメートの足立選手と一緒に見たかった。それを叶えることができた」と笑顔を弾けさせた。
ケニア選手が目の前で転倒したときは、「抗議されるかもと不安もありつつ、今は走ることに集中しようと思って走った」。無事にメダルを手にし、「あの判断が正解でよかった」とうなずいた。
■それぞれが刻んだ、大きな足跡
他の3人は皆、デフリンピック初出場ながら、それぞれ個人種目でも結果を残し、疲労感もあるなかチームとして集大成の走りを披露した。400m8位入賞の1走、足立は、「この舞台に立てるだけでも幸せなのに、金メダルを獲れて夢のような気持ち。応援してくれた仲間たちの姿を思い浮かべながら走った」と感謝した。
400mと400mハードルで5位入賞の村田は、2024年3月の冬季デフリンピック(トルコ)でアルペンスキー大回転の銀メダリストで、「二刀流」での初のメダリストにもなった。。「多くの支えがあったからこその結果。感謝の思いを忘れず、この瞬間をかみしめ、これからも過ごしたい」
3走の荒谷は陸上競技初日の混合4x400リレーにも出場し、日本新(3分54秒52)での6位入賞に貢献。「リレーは個人の問題でなく、国の威厳を背負っての戦い。日本中がひとつになって取れたメダル」と胸を張った。
山田は今大会公式ポスターのモデルにも選ばれた「大会の顔」。開幕前から、「僕なりの使命感」をもって積極的大会PRに努め、聴覚障害や手話言語への理解も訴えてきた。「(大会期間中は)想像の10倍以上のお客さんに集まっていただいた。今日で終わらせるのでなく、日常生活の中でも発信しつづけていきたい」と決意を新たにしていた。
日本のデフ男子短距離陣は層が厚い。この4x400mリレー予選では山田を温存し、初出場の小原奏楽、足立、荒谷、村田の順につなぎ、予選2位のタイムで決勝に進出。また先に行われた4x100mリレーで日本は、昨年7月に世界新記録をマークしたときのメンバー、足立と山田を使わずに2大会ぶりの金をつかんだ。足立と山田はこの4x400mリレーに専念させる戦略をとって見事に両2種目制覇の快挙も成し遂げた。
山田は、「4x100mも走りたいという気持ちは正直あったが、ライバルであり親友でもある佐々木琢磨に託した。信頼関係があるからこそ、二人それぞれの役割を達成できた。デフ陸上を引っ張る二人がそれぞれ金メダルを獲れたことは非常に意味がある」と手応えを口にした。
今後へのさらなる可能性を感じさせる、トラック最終種目だった。

(フリーライター:星野恭子)



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