【東京デフリンピック】陸上男子100mで佐々木琢磨が銅! 連覇ならずも2大会連続のメダルつかむ
- paraspoofficial
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更新日:6 時間前

大会4日目の11月18日、陸上競技の男子100m決勝で佐々木琢磨(仙台大TC)が今季ベストタイムとなる10秒63(+0.1)で銅メダルを獲得した。陸上競技では日本選手団にとって今大会初のメダリストとなった。
佐々木は前回のカシアスドスル(ブラジル)大会の優勝者で、デフリンピック連覇の偉業に挑んでいた。だが、優勝したエストニア選手は10秒68のデフリンピック新記録、2位に入ったスウェーデン選手は10秒61の同タイ記録というハイレベルなレースのなか、わずかな差で涙をのんだ。
「日本チームとしてメダルを獲れたことを誇りに思う。目標としていた金メダルを獲れなかった悔しさはあるが、メダルが取れて良かった」
予選の11秒16(-0.2)から、準決勝では10秒94(-0.1)とタイムを上げたが、スタートでやや遅れていた。決勝前に念入りに修正を重ね、本番では、「勝負をかけて」攻めのスタート。4歩目くらいでつまずいたが、「後半が大事」 と立て直し、トップ争いを演じた。
4大会連続デフリンピアンは、「今回が一番レベルが高かった」と振り返った。実際、前回大会での佐々木の優勝タイムは10秒75。「レベルが上がったなかで皆と一緒にレースができた」のは、デフアスリートのために開発された、光でスタートのタイミングを知らせる「スタートランプのおかげ」と感謝した。「ろう者への理解とともに、競技環境が前よりもよくなって走りやすくなった」
3年前に長年の夢だった「世界一」をかなえた後はモチベーション維持に苦しんだ時期もあったという。それでも、家族をはじめ多くの支えの中で自らを鼓舞し、厳しいトレーニングを重ね高めてきた。

「ブラジルまでは、『世界一』という目標しか見ていなかった。東京は『感謝の気持ち』で走った結果。皆さんのおかげで、今の自分がある」
佐々木のいう「皆さん」の一人は、母校仙台大学陸上部部長の名取英二氏だ。佐々木は大学入学時から指導を受け、卒業後もそのまま師事している。
佐々木は表彰式を終え、メディアの取材を受けた後すぐ、遠くに見つけた名取氏のもとに駆け寄ると、恩師の首に銅メダルをかけることで感謝の思いを伝えた。「先生がいなかったら3位のメダルは取れなかった。スタートに失敗した時も修正ができたことも先生の指導のおかげ」という気持ちを込めて。
名取氏は、「連覇を目指していたので、悔しいです」。しばらく言葉を詰まらせた後、顔をあげ、「でも、力は出し切れたと思うし、よく頑張ったと思う嬉しい気持ちもある」とうなずいた。
世界を制し、新たな目標を持ちあぐねたときも、ずっとそばで見守ってきた。「いつもいつも前向きに、どういう場面でも前を向いてやれるというのは、ものすごい選手。今できることは全部出し切れた」と教え子を称えた。
佐々木は今後、男子200m(21日~)と同4x100mリレー(23日~)の2種目に出場予定だ。「世界一」を目指す戦いはまだ、終わらない。 (フリーライター:星野恭子)



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