パラ銅メダリスト、次の頂を目指して
- paraspoofficial
- 12 時間前
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車いすマラソン・鈴木

東京レガシーハーフマラソン(10月19日)車いす男子は、鈴木朋樹(トヨタ自動車)が43分08で優勝した。2位は吉田竜太(SUS)45分43、3位に岸澤宏樹(日立ソリューションズ)46分13が入った。車いすマラソンの日本人選手では、鈴木が一人、頭一つ抜け出ている印象だ。スタートから序盤5キロ付近で、他の選手を引き離して独走。そのまま1人でゴールまで走り切った。
ただし、鈴木は余裕で走り切ったわけではなかった。優勝者会見の席では、「正直、きつかったです」と一言。10月12日に米国のシカゴマラソンに出場して3位に入った後、帰国してすぐに今大会に臨んでいた。「内臓疲労があり、途中でちょっと戻して、誤飲もして、むせてしまったりしていた」と、万全な状態ではなかったことを明かした。
「ちょっと気持ちが切れそうになるところがあったんですが、声援で走り切ることができた」と鈴木。コース上ですれちがう一般ランナーからの声援に車いすランナーに対するリスペクトを感じ、自身の力に変えた。
鈴木は、2024年にフランスで開催されたパリ・パラリンピックのマラソンで銅メダルを獲得。次のパラリンピックに向けた最初の1年となる今シーズンの位置づけについて、「このレースにあわせて、ここまで仕上げようという目標は特に設定せずにトレーニングしてきた」と説明した。それでも、トレーニングを継続する中で、「昨年のパリ・パラリンピック直前のよい状態に仕上げていたものと比べると、自分の走力がついているという実感がある」と話し、レベルアップの手応えは掴んでいるようだ。
ただし、パリ・パラリンピック金メダルのマルセル・フグ(スイス)、銀メダルの金華(中国)など、世界トップクラスの選手に勝つには、マラソンをハイ・ペースで走り続ける「高速順行」の力に加えて、トラック勝負で競り勝つ「スプリント力」など、他の選手より秀でた部分を見つけて磨く必要があると説明した。
自身が持っている力の中から何を武器に選び、どのように磨きあげていくのかは、メダル獲得を狙う選手それぞれの戦略だろう。次のパラリンピックに照準をあわせた取り組みは、始まっている。

(取材・撮影:河原レイカ)



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